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住まいの防犯HOUSE SECURITY

住まいの防犯 安全対策その5

泥棒の侵入手口


 警察庁が公開している全国のデータ(平成16年)では、戸建住宅における侵入手口はガラス割り44.0%、無締まり39.0%となっており、これら2つの手口だけで大半を占めています。
 一方、警視庁(東京都)に絞ってデータを見た場合、無締まりが20%を切っており、ガラス割りの比率が相対的に高くなる傾向があります。一般に、都市部から離れるにしたがって無締まりから侵入されるケースが増える傾向にありますが、これは単に鍵を掛けていない家庭の割合が高くなるからと推測されます。このあたりのデータからも、できるだけリスクを減らそうと考える侵入盗の心理が伺えます。

 さて、次にこれら侵入盗手口の経年変化を見てみましょう。
 都市部から離れるほど施錠をしない家庭の割合が大きく影響を与えると考えられるので、ここでは東京都のデータを用いたいと思います。
 下図で示したように、ガラス割りの手口が約7割、鍵の締め忘れが2割弱という傾向には、経年的な変化はほとんどありません。戸建住宅の場合は窓ガラスの対策が重要であることがよく分かります。

 集合住宅の場合についても紹介しておきましょう。
 最近の集合住宅における侵入手口はガラス割りが最も多く、全体の1/4近くを占めています。サムターン回しやピッキングのような不正解錠が多く見られること、ピッキングが主流だった数年前と比較して手口の経年変化が著しいことが、戸建住宅との違いとして挙げられます。






侵入盗に狙われやすい地域


 侵入盗犯に狙われやすい地域があるのは事実です。
 これは、侵入盗犯の多くが捕まるリスクを恐れるという共通の心理特性を持っていることに起因しており、ある侵入盗犯が好む環境は、他の侵入盗犯にとっても好ましい環境に映るのです。

 では、それはどんな環境でしょうか? いくつか考えられますが、まず、匿名性が高いこと、有責性を感じないこと、コミュニティーが希薄化していることが挙げられます。これらはほとんど同じような意味合いを持っています。

 具体的にいうと、ゴミが不法に棄てられていたり、落書きなどが消されないままに残されていたりするような地域では、そこに住む人の地域に対する有責性を感じません。
 このような地域は荒廃した雰囲気が漂い、そこに余所者が立ち入っても誰も不審に思わなくなり(匿名性が高くなり)、ほかの犯罪を誘発しやすくなるのです。
 この感覚は、ゴミが散乱している場所ときれいに掃除されたところではどちらのほうがポイ捨てをしやすいかを想像すれば理解しやすいと思います。
 ポイ捨てや落書きが見られる地域では、その行為を住民が許している、あるいは無関心というように見受けられ、犯罪行為を見咎められるリスクが少ないと判断できるのです。

 また、犯行前の下見や犯行後の逃走を考えると、幹線道路や鉄道路線(特に駅)の周辺地域もまた狙われやすくなります。
 これらの地域は、足の利便性というだけでなく不特定多数の人や車が出入りするので、匿名性も高くなるのです。


住まいの防犯対策に取り組み


 防犯対策は、どこから手を付けたらよいのかということもあります。
 窓からの侵入を阻止するのに対し、防犯合わせガラスや2ロックにして窓を強化する方法、センサーライトを設置して窓の周辺に長時間滞在しにくいようにする方法、敷地内の通路に扉を設けて窓がある場所まで近づけないようにする方法など数多くの対策が考えられ、さらに個々に費用が変わってくるので判断しにくいのも当然です。

 戸建住宅の侵入盗対策は、住宅が建っている立地・周辺環境、住んでいる家族の構成・ライフスタイルなど、さまざまな不確定要素を考慮する必要があるので、何が一番大事かということを言い切ることは難しいですが、住宅診断をしてもっとも脆弱と判断した部分に重点を置いて対策を実施するのが理想的でしょう。

 とはいうものの、費用の問題もあって理想どおりの対策を実施できないケースが非常に多いのではないでしょうか。
 まずは、「我が家に限って」「自分は大丈夫」という概念から、「もしも」という概念に変えていくことが大切なのではないでしょうか。

 基本的に、防犯性能を向上させるにはお金か労力のどちらかが必要になります。
 自分に合ったこと、自分にできることから始めてみてはいかがでしょうか。




 

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